又妙斎 手造赤茶碗 鵬雲斎箱 覚夢文字 在判有
 世阿弥をはじめとする室町時代の芸の実践者たちは、精神活動
としての芸術を目標とした。 その精神活動の中に「茶の湯」も 含まれ、
実用や装飾を超えて、「精神」というものを表現できることに
気づいた。
とくに、自作道具は 茶人の精神的美意識を 具現化する方法の ひとつ
として生まれた。

茶人による手捏ねの作陶のはじまりは、本阿弥光悦からで、楽 常慶
 道入に手ほどきを受け、自在で個性豊かな作品を残している。

千家においては、仙叟あたりから 長次郎の利休形を写したものが
あらわれている。

見る人 造る人において精神芸術の茶道にとって、手捏ねは、好みや
心情、個性が表現されやすく、表面の美でなく、美醜を超えた内包された
美意識を垣間見ることが出来る。

今回の十二代又妙斎の茶碗は、明治という激動の時代、あらゆる価値が
大きく変わる中、優れた造形力と美意識をうかがわせる作品で
ある。